ほなみの70年代レコード

平成生まれ女子が70年代を中心にレコードを紹介します

和作+2 荒木和作&やまだあきら

去年ちょっと書いていた荒木和作さんのアルバムについて今回は取り上げます

 

レコードはお値段が張るのでCDを手に入れました。

 

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こっちはボーナストラックが「僕の四月」[alternate version]のみ。解説は小川真一さん。

歌詞カードがジャケットと一体化されてるのだけど、誤植あり。

 

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こちらは「和作+2」ということもあり、ボーナストラックで「教えて下さい」の COCKY ALBUM収録 verも入っています。

解説は再び小川さんなのだけど、荒木和作研究が進んだらしく、詳しい。

買うならこちらをおすすめします。ま、こちらにも誤植はありましたが。

 

1974.11.1発売

全曲作詞=やまだあきら(山田明)

全曲作曲=荒木和作

 

1.ドライブ日和

シングルではA面となった、ポップでキャッチーな曲。ブンッというベースの音からいきなりサビで始まります。

荒木さん自身で歌ってるハモがとてもかっこいい! ラストのウーウーコーラスは地声とファルセットの行ったり来たりで、これまた良い。

ジャケットを思わず見返してしまう一曲目です。


2.僕の四月

いつかわかることをいつまでもわからないで

とても考えられないことを考えている

情景というより心情を歌った曲。新年度の始まりのようなイメージが浮かぶのですが、皆様どうでしょうか。


3.五月薫風

4月からの5月。シングルでのB面曲。

「淡い陽光(ひかり)が包んで」がガロ提供曲「一本の煙草」のサビ前のメロディに似てる、気がする。


4.教えて下さい

「教えて下さい」「教えてください」両方の表記があり、タイトルは統一されておらず。

3曲目までのポップさとは打って変わってしっとりとピアノ伴奏で。

この曲だけだったらジャケットはちぐはぐとも言えない気がする。

目を閉じてみれば どこへでも行ける

雲の中に星を見ることもできる

やまだあきらさんの詞が心に残ります。

ポプコン入賞曲だそうですが、サイトを確認しても名前も曲名もない…

https://www.yamaha-mf.or.jp/history/e-history/popcon/

アルバム発売時期を考えると第七回より前に出場したのでしょうか。謎ですね。


5.悲しみのはじまり

絶望とか挫折とか、そういうテーマに曲をつけ、歌うのがとても合っています。ガロ「吟遊詩人」のアルバムに提供した3曲からも思いました。


6.雨がたえまなく

雨の音が聞こえて来そうな。

気だるげで、窓辺に座って外を眺めている青年の姿が浮かびます。


7.汽笛・トンネル・駅・鉄橋

汽車が主人公で、「水をごくりと呑んでいる」と擬人化されている部分も。

明るくて、みんなのうたとかで流れてそう。


8.朝は寝むいよ

朝の気だるさ、眠そうな感じがゆったりとした声で表現されています。エレキの音がなければ睡眠導入にぴったり。


9.花の様に

この曲がとても好きなのです。色々な楽器の音が聴こえるけれど決してボーカルを邪魔するわけでもなく、その塩梅がちょうどいい。

ラストはだんだんとフェイドアウトしていくのですが、終わるのか…と寂しく思っているとまた音量が上がって、そしてフェイドアウトしていくという。

6分近くとアルバムの中では1番長い曲ですが、長さを感じさせない中毒性のある曲です。


10.三丁目ありがとう

道を尋ねる人と、それに答える人の短いやりとり。詞にするテーマが面白いです。

わずか1分足らずの曲なのですが、インパクトがあります。最初の3曲のポップさが最後でもう一度思い起こされる。…ということを考えるとやはりジャケットは合っていない気がする汗


11.僕の四月 [alternate version] (ボーナス・トラック)

アルバム収録版との違いはボーカルにエフェクトが入っていることくらいでしょうか。

何に使う予定だったのだろう。


12.教えて下さい [COCKY ALBUM version]  (ボーナス・トラック)

萩原暁編曲(他の曲の編曲者は不明)。テンポが少し早く、歌い回しも違っています。

いかにもポプコンっぽいアレンジで、アルバムに収録したら浮くのは確実ですが、これはこれで良いです。壮大で。

 

また、これは意図的なのかどうか定かではありませんが、

「部屋には僕人」(「朝は寝むいよ」)、「人手をつないで」(「花の様に」)、「丁目ありがとう」、「僕の月」、「月薫風」、「環」(「三丁目ありがとう」)、「13キロ」(「汽笛・トンネル・駅・鉄橋」)

と、歌詞に数字が多用されているのが気になります。

 

このアルバムの近年の評価としては早すぎた天才、隠れたシティポップの名盤、という感じでしょうか。

でも、ザ・シティポップ!というわけでもなく、ニューミュージックなどいろんな要素が絡み合った作品だと思います。あまり知られていないのがもったいない。

フォークやニューミュージックが好きな方で、シティポップはオシャレすぎる…と思う方に(ジャケット的にも)シティポップ入門としておすすめです。かなりマイナーな入り口ではありますが笑

ぜひぜひ一度聴いてみてください!