ほなみの70年代レコード

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大野真澄作詞のガロ「青春の旅路」の歌詞を深掘りしてみる

(そういえば毎回ブログの冒頭に挨拶を書いてないなあと今更気づいた今日この頃。あった方がいいのかな…)

 

「青春の旅路」とはガロのシングルでは「さいごの手紙」のB面、アルバムでは「三叉路」のB面7曲目に収録されています。シングルとラストアルバムの大トリを飾っている曲です。

作詞作曲はメンバーの大野真澄さん。

改めて歌詞をじっくり読んでみて、すごい!と感じる点が多々あったので自分なりに解説してみたいと思います。

 

この曲はラストアルバムのために作られた曲。つまりガロの解散が前提で作られた曲です。

一見失恋の歌のように見えますが、ファンにはすぐにわかってしまう。ガロのことを歌った歌なのです。

 

ガロは自分たちの私生活などを具体的に歌詞に描くことはあまりなかったので、珍しい曲です。

 

肌寒く枯葉が舞う頃 五年前の話しだけれど

その時に出会いがあり 新しい人生が始まった

「三叉路」が発表されたのは1975年12月25日(ガロからのクリスマスプレゼントがラストアルバムというのは悲しい…)。

「五年前」というのは1970年となります。「枯葉が舞う頃」というのは今現在(2020.12.31)でいうと1ヶ月くらい前でしょうか。ガロの結成は1970年の11、12月ごろであり、ぴったりと重なります。

その出会いというのはトミーとマークと3人でのガロ結成。ガロが新しい人生の始まりだった…

 

恋愛だと解釈すると、恋人ができて幸せに包まれた新しい人生が始まったということ。

 

旅に出た僕等の瞳には 同じ山の頂が映った

演奏旅行を彷彿とさせます。ライブで全国を回っていくガロ。CSN&Yなどのコピー、歌を歌うことが単純に楽しく、あわよくば曲がヒットしてほしい。

 

そんな夜に見つけた星 手の中に掴んで落した

昼でなく夜というところに、ヒットした曲がメンバーの作ったものではなく専業作曲家によるものであったという暗示とも取れます(←深掘りしすぎかな)

「学生街の喫茶店」のヒット、そしてそれによる売れっ子歌手という地位。

けれどそれが続かなかった…

 

甘い夢に溺れすぎた僕等に

残っていたのは岐れと一人歩き

「別れ」ではなく「岐れ」と表現することで三叉路という分岐点であるアルバムタイトルを彷彿させます。

 

次に2番へ行きます。

これからは互いに気疲れを

することもなく なることだろう

音楽性などがバラバラになっていくガロ。

それをまとめるのが大変でストレスによる十二指腸潰瘍で入院した大野さん自身が彷彿されます。

 

https://vocal-booth.amebaownd.com/pages/2274170/page_201809191510

HP。特に第21回には色々な“ゴタゴタ”に触れられています。大野さん、とても記憶力がいい。

 

去ってゆく姿見れば

想い出もこみあげてくるけど

この部分は、この詩の救いの部分である様に感じます。トミー、マークと一緒にグループとして活動したこの5年間。

 

こんな青春を生きた僕等に あるのは

淡い絵の具で画かれた道だけさ

元々デザインの世界に進もうと考えていた大野さんらしい色彩の表現。

 

比喩表現が多用されており、2人とも3人とも書かれていないためカップルともガロとも取れる歌詞。

最初はこの曲を聴くたびにガロの解散やバラバラになっていく3人の姿が思い描かれて苦手な曲でした。

でもよく聴いてみるとグループの軌跡を一曲でまとめ上げていて素晴らしいなと…

大野さんがガロにけじめをつけようとしたようにも感じられます。

 

その後のあおい輝彦さん提供曲(作詩)の「あなただけを」のヒットにつながる、大野さんの作詞家としての才能が発揮された作品であると言えるのではないでしょうか。

 

さて。

ガロは1971年10月10日に「たんぽぽ」でデビューして、来年で50周年です!

 

このブログを通じて、来年はガロの魅力をより多くの人に伝えることができればいいなと思います。

 

みなさま良いお年を!